循環器Drよりサムタス点滴静注を使用したいと依頼があったため採用に際して勉強会を行った。
せっかく勉強したので記録しておこう。
サムスカの経口投与が困難になってきたみたい。
そういう患者さんにはサムスカ点滴バージョンのサムタスが良い適応というわけだ。
あと心不全で体液貯留のために腸管浮腫があると経口での吸収が落ちて効果不十分ということもあるから、そういう患者さんにも良い選択肢となるわけ。
名称の由来:サムスカの経口製剤に点滴静注用製剤が新たに加わる(足す、+)ことに由来。
個人的には名前変えなくてもいいと思いました。
規格:8mg、16mg
(サムタス16mgの暴露量がサムスカ15mgに相当、同様にサムタス8mgの暴露量がサムスカ7.5mgに相当)
適応:ループ利尿薬等の他の利尿薬で効果不十分な心不全における体液貯留
(サムスカは他に「肝硬変における体液貯留」、「SIADHにおける低Na血症の改善」、「常染色体優性多発性のう胞腎」もあり)
経口のサムスカの添付文書には無い文言
・用法及び用量に関連する注意
「経口水分摂取が困難な患者に投与する場合は8mgから開始し、効果不十分な場合には翌日以降に16mgに増量できる。ただし本剤投与後24時間以内に血清Na濃度が10mEq/Lを超えて上昇した翌日には増量しないこと」
てことで8mgの採用が多いかな。
・特定の背景を有する患者に関する注意
「増量時には少なくとも投与開始4~6時間後及び8~12時間後に血清Na濃度及びK濃度を測定すること」
なんだかカリウムにも注意しなきゃですね。
薬剤調整について
50mLのSSまたは5%TZ。50mLより多くても少なくても試験をしていないため50mLで溶解希釈する。
1バイアルにSSまたは5%TZを4mL加え溶解し、溶解液は全量注射筒に抜き取り、直ちに点滴静注用ボトル又はバッグに戻して希釈する。
泡立ちやすいのでゆっくり1,2回転倒混和する(泡立ったら30分程度放置しないと消えない。らしい。)。
その他
・投与期間の縛りはない。
・使用する医師が循環器専門医であること。
・Tmax:サムタス16mgで1.52時間、サムスカ15mgで4.07時間。
・経口摂取が困難な患者、腸管浮腫があり経口投与で効果不十分な患者、Tmaxが短いので早期にうっ血改善を目指したい患者に適する。
・高Na時には原則5%ブドウ糖液で補正する。
・Na値に加えK値の変動にも注意する。
・死亡例は16mg投与例で多かった背景も気に留めておく(因果関係は1例以外否定されている。まあ重症だったり高齢だったりしたみたい)。
そんなにNa測定言うんなら生食じゃなくてブドウ糖液で溶解させたらいいんじゃないか?
いや、フロセミド併用してるはずだからいいバランスになるのか?血糖高い人だっているよね。
とりあえず溶解液の規格は50mL一択なので気を付けましょう。
参考:大塚製薬HP